モノ・コトを作る人の「暮らし」をインタビュー。
そういえば大人になってから着てないな・・・
子供のころは着ていた記憶のある「はんてん」。
私の中で「はんてん」というと、どこか懐かしいイメージがありました。
どうしても若い人より子供や年配の方が着るイメージが強かったこともあり、これまでなかなか着る機会がなかったように思います。
しかし今回の取材を通して、そんな私のイメージをガラっと覆すような「はんてん」があるというのを知ることになるのです!
今回取材に伺ったのは、福岡県筑後市にある『宮田織物』。
大正二年からスタートし創業百年を越える、木綿織物の老舗です。
デザインから布地織り、縫製、わた入れまで全て自社での一貫生産にこだわっています。
建物内をぐるっと一周見学させていただきましたが、工程ごとに部屋が分かれていて、とっても広い!
たくさんの道具、たくさんの人の手により、ひとつひとつ丁寧に作られていました。
作るものは、久留米絣からわた入れはんてん、そして婦人服へと、時代により変わっていきましたが、『宮田織物』のものづくりへの真摯な思いは今も昔も変わっていません。
今回は、そんな長い歴史のある『宮田織物』の窓口的存在、営業主任の平野 広大さんに
自身の暮らしや想いについてお話を伺ってきました!
— 平野さんは『宮田織物』の中で普段どういったお仕事をされているのですか?
入社してまず1年半程は、『宮田織物』オンラインショップの運営を担当していました。
その後営業業務へ移り、現在は小売店に向けた卸や通信販売業者への対応などを主に担当しています。
各地の取引先様からの受注があると商品を準備し、発送業務や製造部門とのやり取りなど業務は様々。
秋から冬にかけては全国各地の小売店などで、「わた入れはんてん」の催事が開催されるので、現地に出向き売り場の設営や接客をすることもあります。
— 仕事をする上で大事にしていることや、マイルールはありますか?
できるだけ、「顔の分かる相手と楽しく仕事を進めたい」という思いがあります。
突然メールで依頼がやってきて、お互い顔も分からず進める…というような仕事も少なくない今の時代ですが、売上や物量の大小に関わらず、ちゃんと顔の分かる相手と楽しく話を重ね関係性を築くことが大事だと考えています。
今の仕事はひとつひとつ形になる事にやりがいを感じることができる、すごく良い仕事だなと感じています。
— どんな思いで、ものづくりの仕事と日々向き合っていらっしゃいますか?
『宮田織物』は言わばものづくりの会社。
伝統から学びつつ新しい知識を取り入れ、時代に合わせたものを作り続けています。
その中でも50数年前に製造を始めた「わた入れはんてん」は、今や宮田織物の看板商品になりました。
表からは見えない中綿をはじめ、わた入れ後の手縫いの部分まで「見えないところに手を抜かない」という信念のもと、日々仕事に向き合っています。
— 毎日を楽しく暮らすために、普段から心がけていることはありますか?
『宮田織物』で働く前は、京都や大阪で全く職種の違う仕事をしていたのですが、毎日が目まぐるしく、色んな新しい情報が溢れている中で生活していました。
その頃から比べると今の環境は外から入ってくる情報が驚くほど少なくなりましたね。
なので、できるだけテレビのニュースを見たりネットを検索したりと、自ら情報を取りに行って収集するようにしています。
仕事や日々の生活、先々の事に活かせる情報がないかと、いつもアンテナを張るように心掛けています。
— 各地に足を運んだりと忙しい毎日を過ごしていらっしゃると思いますが、どんなことが気分転換やリフレッシュに繋がっていますか?
小さい頃から自転車で走ることが好きで、今でも通勤で片道約50分自転車に乗っています。
自転車自体には大したこだわりはなくて、今乗っているのは電動アシスト付きのシティーサイクル。
大きな前かごを付けた “快適通勤仕様”な自転車です。
のどかな道で風を感じながらマイペースに、広い景色と空を見ながらだら~っと走るのがとても心地よく、気分がリフレッシュします。
心身ともに安らげる、私にとって必要な時間です。
— 休日はどのように過ごされていますか?
小学1年生の娘と一緒に、近所を自転車で散歩したりします。
季節や自然を感じながらリフレッシュできる貴重な時間なので、週1回は行くようにしています。
あとは、家の周りの草取りをすることもあります。
今自然豊かな環境で生活をしているので、家の周りに雑草なども多くて…
手入れがなかなか行き届かないのですが、見苦しく感じてきたらやるようにしています(笑)
— お家の周りにリフレッシュできる環境があるって、すごくいいですね!
平野さんの好きなことや趣味は何ですか?
以前は好きな車に乗って海まで走り、サーフボードにまたがって海でプカプカと浮く…というのが趣味でしたが、引っ越して生活環境の変化と共にできなくなりましたね~。
それと高校生の頃から変わらず好きなことが、映像や写真を撮ること。
その時その時で撮影対象は変わってきましたが、今でも大切な趣味です。
— ご自宅でお気に入りのポイントはありますか?
家からの眺めですね~。
少し高台に家が建っていて、特に何かが見えるというわけではありませんが、近所の山並みやちょっとした川沿いの景色を眺めることができるのが気に入っています。
どの部屋からも、その眺めを楽しめるように家を作りました。
— 平野さんの今後の目標や、理想の暮らしかたを教えてください!
『宮田織物』で働き始めて4年ちょっと。
仕事も住環境もまだまだ新しいことづくめです。
目標としては、日々降りかかってくる課題を今よりもっとうまく熟せるようにすること。
そして自分たちの作ったもので一人でも多くのお客様に喜んでいただき、地域社会に貢献していくこと。
それと同時に、家族との時間を増やしていくことも目標です。
家族そろってどこかに出掛けたり、家族旅行に行ったり。
みんなで一緒に楽しむ時間をもっと増やしていけたらいいなと思っています。
自然豊かな筑後で暮らし始めて、時間の流れ方や感じ方に変化を感じているという平野さん。
いつも当たり前にある日常の風景や自然の中に、愉しみや癒しを見つけながら、日々忙しい中でも自分のペースで充実した暮らし方をされています。
そしてその自然豊かな場所で、人の手仕事によって生まれる『宮田織物』の製品。
その中でも『宮田織物』のものづくりの代表格「わた入れはんてん」は、機能性はもちろん生地やカラー、形などデザインが豊富で幅広い層の人に支持されています。
実は使用しているわたは、先日取材させていただいた『新川桂』さんのわた!
素材にこだわり、ひと織り、ひと針丁寧に真心を込めたものづくりは、着る人の心にもちゃんと伝わってきます。
いや~今回の平野さんに取材させていただいて、私の中の「はんてん」のイメージがかなり変わりました。
私たちの生活に寄り添ってくれる、こんなにも身近なものだったとは!
最後に、この日偶然居合わせた『うなぎの寝床』富永さんも一緒に写真撮影!
さすが平野さん、富永さん、おしゃれに着こなしていらっしゃいます。
寒い冬を心地よく快適に過ごせるお気に入りの一着。
ぜひ探してみてはいかがでしょう♪
宮田織物
[ 住所 ] 福岡県筑後市羽犬塚375
[ Tel ] 0942-53-5181 [ Fax] 0942-53-8150
[ 営業時間 ] 8:30-17:30
[ 定休日 ] 土・日・祝祭日
宮田織物 online shop
https://shop.miyata-orimono.co.jp/