海とコーヒーと暮らす|楽園珈琲

| 2020 03.13

モノ・コトを作る人の「暮らし」をインタビュー。

大小120近くの島々からなる、青い海に囲まれたまち、天草。

 

豊かな自然と豊富な海の幸・山の幸に恵まれ、古くからの歴史や文化に育まれた島です。

 

 

 

 

そんな天草の海に近い場所でコーヒー屋を営むのは、サーフィンをこよなく愛する本山さんご夫婦。ご主人の秀樹さんと、奥様の美和さん。

 

お2人は「心をやさしくつつみこむ」というコンセプトのもと、10年前の創業時からたくさんの人たちをコーヒーで笑顔にしてきました。

 

 

 

 

緑の山と青い空の中で一際目立っているこの白い建物が『楽園珈琲』の店舗。

 

その隣には、これまでご夫婦と共にいろんな場所へコーヒーと笑顔を届けてきた移動販売の相棒、ワーゲンバスもあります。

 

 

 

 

真っ白な外観とは対照的にダークブラウンがベースの店内。

あたたかく照らしてくれるオレンジ色の照明が心地よく、とても居心地の良い空間です。

 

メニューはコーヒーやエスプレッソドリンクの他にも、アフォガードやエスプレッソチーズケーキなど、コーヒーを存分に楽しめるデザートも。

 

のんびりとした自然に癒されながら、気さくなご夫婦のいる居心地の良い店内でいただく、おいしいコーヒーとおいしいデザート。

これは遠方からでも通いたくなります!

 

 

まさに“楽園”のようなコーヒー屋、『楽園珈琲』ご主人の本山 秀樹さんに、コーヒーへのこだわりやこの場所での暮らしなどいろいろとお話を伺ってきました。

 

 

 

 

— 『楽園珈琲』を始める前は違うお仕事をされていたそうですが、これまでとは違う道に進むことになったきっかけは何ですか?

 

本山さん:以前は航空整備士をしていました。

天草には当時の仕事の関係で移住してきたのですが、体調を崩してしまったことが理由で続けていくのが難しくなったんです。

 

もともとコーヒーは将来定年後にでもやりたいなと思っていて、天草に移住する前、地元長崎に住んでいた頃に知り合いから焙煎を教えてもらっていたので、自然とコーヒーの道に進みました。

当時はこんなに早く仕事になるとは思っていませんでしたが(笑)

 

 

 

 

— 航空整備士を辞めてからお店を持つまで、どんな道のりでしたか?

 

本山さん:振り返ってみると当時は大変でしたね (笑)

長崎出身の私と北海道出身の妻にとって、天草という土地はもともと全く知らない土地で、最初は友達も知り合いもいない状況でした。

なので、まずはとにかくみなさんに『楽園珈琲』という名前を知ってもらう、というところから始めました。

 

一番最初は屋台からスタートして、小さなイベントに出店させていただいていました。

その後移動販売車を作り、“移動カフェ”としてイベントに出店したり、天草にある「とれたて市場」では妻が5年ほど定期出店させていただいたり。

大きなイベントの時は2人で一緒に行きますが、基本的には妻が販売を行い、私が焙煎するというスタイルでした。

 

そして3年前、この場所にお店を構えました。

ありがたいことに、『楽園珈琲』としては今年10年目を迎えます。

 

 

 

 

— 10周年おめでとうございます!お二人の出身地は長崎と北海道ですが、お店を構える場所に天草を選んだのはなぜですか?

 

本山さん:ありがとうございます。

そうですね、そのまま天草に残ってコーヒー屋を開こうと思った一番の大きな理由は、やはりたくさんの天草のお客様がファンになってくださったこと。

みなさん本当にいい方ばかりで、天草を離れることはできなかったですね。

 

実はお店を構えることは以前から考えていたので物件は色々探してはいたのですが、そのうちに今度は妻が体調を崩してしまいまして…

このまま移動販売を続けるのは難しいかもな…と思っていた丁度その矢先、たまたま見つかったのがこの場所だったんです。

 

なんていうか、やりたいことをやりたいようにやっているというよりも、その時その時の流れに身を任せて動いていたら必然的に今のかたちになった。という感覚ですね。

 

 

 

 

— コーヒーづくりへのこだわりを教えてください。

 

本山さん:コーヒーは素材が全て。

生豆のポテンシャルが100だとして、どんなにいい焙煎をしたとしても120にはならないんです。

手を加えることでどんどん落ちていくので、できるだけ最初のポテンシャルが高い豆を使うことにこだわっています。

 

あとはコーヒー屋さんによって焙煎の仕方は様々で、昔ながらの喫茶店のような深煎りコーヒーのお店もあれば、若い人を中心に好まれている浅煎りコーヒーのお店もあります。

 

私は深煎りでも浅煎りでもなくちょうど真ん中くらいが好きなのですが、やっぱり自分が好きな味じゃないと人にも勧めれないなと思っているので、うちではその「ちょうど真ん中くらい」を目指して焙煎しています。

 

 

 

 

— 確かに浅煎りよりもコクがあって、でもちゃんとその豆の香りも楽しめて…
とてもおいしいです!
お休みの日はどんなふうに過ごされていますか?

 

本山さん:それがですね、自営業になったら休みがたくさんとれるんだろうなーなんて思っていたのですが…

焙煎したり仕込みをしたりで結局休みの日もお店にいることが多いです(笑)

まぁお店をされてる方はみなさんそうだと思いますが…。

 

私たち夫婦はサーフィンが趣味なので、シーズン中時間を見つけては海に行っています。

夜明けが早い時期なんかは、お店を開ける前の朝早い時間に行くことも。

 

もう30年くらいずっと、生活の中心はサーフィンですね。

住む場所もそれを基準に決めているところもあります。

 

 

 

 

— ご夫婦でサーフィン中心の生活なんて…かっこよすぎます。
本山さんの生活の中で毎日欠かせないことってありますか?

 

本山さん:毎日の生活に欠かせないのはもちろんコーヒー。

私の一日はコーヒーを淹れることから始まります。

 

これは昔からなんですけど、朝起きたらとにかくコーヒーを飲まないと気が済まないというか(笑)一日のスタートがきれないんですよね。

 

一日の中で一番大切な時間です。

 

 

 

 

— 毎日を楽しく過ごすために心掛けていることは何ですか?

 

本山さん:心掛けていることは、日常の暮らしの中にちょっとした“幸せ”や“楽しみ”を見つけることです。

 

どこか旅行に行くとか、ご褒美にコレを買うとかそういったことよりは、「今日のご飯美味しかったねー」みたいに、いつもの暮らしの中にあるなんでもないような小さな幸せを大切にしています。

 

 

 

 

— では最後に、本山さんの今後の未来図を教えてください!

 

本山さん:おじいさんがやっているような昔ながらの喫茶店ってあるじゃないですか。

そういうのに憧れていて、いつかはそんなコーヒー屋さんをやってみたいなと密かに思っています。

 

お店を大きくしたいとか、有名になりたいとかそういうことじゃなく、ただ純粋に自分がおいしいと思うコーヒーをこれからもたくさんの方に届けることができたらいいなと思っています。

 

もしこの先カタチが変わったとしても、コーヒー屋はずっと続けていきたいですね。

 

 

 

 

美味しいコーヒーは当たり前のこと

結局のところ「人」が大事

「人」に会いに「人」は来る

 

と本山さんは言います。

 

この『楽園珈琲』のお客さんもきっとそう。

コーヒーよりも…というとちょっと語弊があるけれど、この素敵なご夫婦に会いたくて通われる方も多いのでなないでしょうか。

 

肩の力を抜いてほっと一息。

 

本山さんの淹れるコーヒーは、今日も私たちの心をやさしくつつみこんでくれます。

 


楽園珈琲 cafe & roastery

 

[ 住所 ] 天草市五和町城河原1丁目99-1

[ 営業時間 ] 12:00〜17:00

[ 定休日 ] 毎週火曜日、水曜日

シェア